第2話 手探りの計画 待ち受ける英語の壁
さて、アジサシは、TOEICによって就活を成功させるべく、英語の勉強を今日から始めた。
とはいったものの、TOEICは約2ヶ月後に試験がある。俺にはそこまで時間の余裕がなかった。さあどうする、俺。
実は英語に関しては、「Hello!」や、「Yes? No...」などといった超絶基本的な部分、もう少しわかりやすく言うと、小学生ならなんとかなりそうな知識すらない・・・というわけではない。俺はどっかの鉄道会社グループのコンビニ店員のアルバイトをしているが、そこで外国の方に英語で日々接客をしている。そのため、どんなに速い速度で英語を喋られても、的確な答えを英語で返すくらいは簡単にできる。いや、どういうわけか、ここで働いている限り、ある程度の英語力は勝手に身につく。もっとも、英語を喋ることができないからと言って、ジェスチャー等で英語から「逃げ」たりしなければの話だが。
とはいったものの、英語を母国語としない訪日外国人よりも英語力は劣るし、専門用語などが入るビジネス英語なんて、まだまだわからない。それに、万が一就活に失敗した際、大学院進学をして自分の市場価値を2年間追加で大幅に高めなければならず、それに入学するのに英語が必要となる。なんとしてでも英語をうまく理解して話す力を手に入れないと話が進まない。
そういえば、入試で受けようとしている大学院、英語の学力を測るのに何を採用しているのか、詳しく確かめていなかったな・・・。今確かめてみよう。
・・・・・。・・・はぁ?
ジ、GMATがいる・・・だと・・・!?
これはやばい・・・。俺は、アジサシながら顔とくちばしを真っ青にしてしまった。
GMATとは、TOEICとは異なり、受験する回数制限が設けられている。そして、受験料も一回あたり250USドル(2019年11月当時)と、とても高額だ。
そしてGMATの一番きついところは、いうまでもなくこれだ。
GMATは、一生のうち8回しか受験できない。
注:2019年11月当時
失礼ながら一言いわせて欲しい。
なんやこのクソゲー感半端ない設定はぁ!!!
しかも、これまで受けた成績ごと全て企業や大学院に提出されてしまう。どの回の決して低得点を取ることが許されないのである。しかもその得点の有効期限は5年である。これはやばいぞ・・・。
試しにGMATのミニテストを受験してみた。
さあ、俺のスコアは・・・
320~340点!!!
やばい!やばいぞ!!
幸いまだGMAT受験からスコア提出まで約半年ある。なんとか英語力を向上させないと、今度こそアジサシ、いや、俺の人生は詰むぞ!!!
TOEICも怖くなってきたな。実はTOEICもスコアに関しては高校卒業時にプレテストを受けてちょうど700点をゲットした(非公認)きり、まったく触っていない。今の点数?怖くて見たくないよー。
そんなことを考えていると、ふと就活で向かう企業の課題について、衝撃の情報が俺の目に入る。
なんと!!12月中旬にビジネス英語を使った筆記試験が課されるのだ!!!
しかも、日本語ならまだ少しばかりの救いはあったものの、英語での解答だ!!
これはやばい!!
なんとかしないと!!
GMATに、TOEICに、筆記試験・・・。留学経験はおろか、海外の「か」の字すら行ったことのない俺は、この極限状態を無事乗り切れるのか!?
ついでに、勉強する必要がある教科や業界研究等について、ある程度絞ることに成功した。顧客(今回で言えば、就職する企業先や大学院かな。)の求めている市場価値を提供し、受け入れてもらうために必要な最大限のパフォーマンスを提供することは当然のことである。問題は、それをどう効率的に身につけ、発揮していくかだ。
計画は立った。あとは実行するのみだ。
こうしてアジサシは、今日も英語の勉強を中心に行ったのである。